江田島レモン
01
プロジェクトの全体像
江田島で、レモンを育てる
レモン栽培からはじめる、社会実装型デザイン
このプロジェクトは、広島県にある江田島の自然の中でレモンを育てることから始まります。畑に並ぶ小さな木々、その一つひとつが、誰かの想いや希望と結びついています。
やがて、そこに実るレモンは、ただの農作物ではなく、人と人をつなぎ、地域の課題と向き合う「きっかけ」にもなっていきます。
レモンの香りとともに、新しい循環が生まれはじめます。

- 地元の高齢者・
障害者とともに 高齢者も、障害のある方も、若い人たちも。年齢や立場をこえて、「できることを、できる範囲で」。
このプロジェクトでは、地元の人々一人ひとりの力を大切にしています。畑しごとも、梱包も、笑顔の声かけも、すべてが「社会参加」。
みんなで楽しく、無理せず、支えあう小さなチームづくりを目指しています。
- 地元の高齢者・
- イメージキャラクター
「え〜れもん」 「え〜れもん」は、江田島のレモン畑から生まれたえれもんの中のひとつのキャラクターです。
他のえれもんとともに、"心も体も整える力"を届けてくれます。
地域の子どもから大人まで、誰もが親しめる存在として、パッケージやシールにも活用。
- イメージキャラクター
- 地域課題に「デザイン」で、
向き合う このプロジェクトの根底にあるのは、「地域課題をデザインで見つめ直す」こと。
ただものを作るだけではなく、どう見せるか・どう伝えるか・どう関わるかを重ねながら、支援ではなく共に創る(共創)を目指します。
江田島という小さな島から、あたたかい循環が育つ"社会実装型デザイン"を進めています。
- 地域課題に「デザイン」で、
02
江田島から始まる物語
支え合いたい、でもその関わる場所が見つからない。
江田島は、美しい海と山、澄んだ風と人のやさしさに包まれた島です。
しかし、人口の半分以上が高齢者という現実があり、働く場も、支え合う仕組みも、足りなくなっています。かつて使われていた畑は、いま手入れの人もなく、静かに草を伸ばしているだけ。
支えたい人がいるのに、その"関わる場所"がない。だから私たちは、レモンの畑から、その場所をつくることにしました。働くというより、関わる。無理なく、楽しく、生きるリズムを取り戻す小さな畑から始まるプロジェクトです。

江田島市の高齢化率の推移
年度 | H2(1990) | H7(1995) | H12(2000) | H17(2005) | H22(2010) | H27(2015) |
---|---|---|---|---|---|---|
高齢化率 | 20.9% | 24.7% | 28.8% | 31.7% | 35.8% | 41.0% |
【出典】 江田島市オープンデータページ(https://www.city.etajima.hiroshima.jp/cms/s/articles/show/7395)
江田島市では、1990年(平成2年)の時点で高齢化率はすでに20.9%。それから25年で一気に上昇し、2015年には41.0%に達しました。これは同年の全国平均26.6%、広島県平均27.5%を大きく上回る水準であり、深刻な"超高齢化"地域であることを示しています。現在では、さらに50%に迫る勢いとも言われています。この現実が、レモン畑を起点にした"関われる場所づくり"のきっかけになっています。
江田島の"主役"は、
高齢者
江田島市では、65歳以上の高齢者が人口の中核を占めています。
特に70代・80代の人口が多く、介護や見守りといった支援だけでなく「まだ働きたい」「関わりたい」という思いを持つ方々も多く存在します。この高齢化は課題であると同時に、地域の大きな可能性でもあると考えます。
- この状況を「課題」とするだけでなく、「一緒に関われる力」として捉えることが、私たちのプロジェクトの出発点です。
03
眠っている土地、足りない担い手
江田島には、まだ"使われていない土地"がたくさんある。
江田島市には、本来農業に活用できるはずの土地が、いま多く休んだままになっています。高齢化とともに耕作放棄地は拡大し、担い手の減少も顕著です。
実際、農業経営体数は2005年(平成17年)からの15年間で、511戸 → 179戸へと激減。荒れた農地は地域の美観や環境にも影響を与える一方で、再生させるだけで大きな価値を生み出す資源にもなります。
そこで私たちは、"レモン"という作物に着目しました。潮風に強く、収穫時期の幅も広いレモンは、高齢者でも関わりやすく、未活用の土地を活かす小さな循環としてぴったりだったのです。

使われなくなった畑が、島に眠っています
【データ抜粋】
江田島市の耕作放棄地面積(単位:ha)
年度 | 合計 | 販売農家 | 自給的農家 | 土地持ち非農家 |
---|---|---|---|---|
平成22年 | 657 | 56 | 220 | 371 |
平成27年 | 475 | 30 | 106 | 339 |
【出典】 江田島市オープンデータページ(https://www.city.etajima.hiroshima.jp/cms/s/articles/show/7395)
かつて多くの人の手で耕されていた江田島の畑は、手つかずのまま眠っています。
平成22年には647ヘクタールあった「耕作放棄地」は、5年後の平成27年には475ヘクタールへと縮小していますが、その多くが「土地を持っていても農業をしていない人(非農家)」のものであり、活用の糸口が見つかっていないのが実情です。
- このプロジェクトは、こうした"空いたままの土地"を、新たな循環のスタート地点に変えていく取り組みです。
江田島市の耕地面積の推移
江田島市では、2017年(平成29年)に626ヘクタールあった耕地面積が、2022年(令和4年)には524ヘクタールまで減少しています。これは約16%の減少にあたり、高齢化と担い手不足が続く中で、農地が維持されにくくなっている現実を示しています。
江田島市の農業経営体数の推移
江田島市における農業経営体(農業に従事している家族や個人、法人などの数)は、2005年(平成17年)時点で511ありました。しかし、2020年(令和2年)には179にまで減少。このわずか15年の間に、およそ65%減少しています。 特に個人経営体の減少が顕著であり、高齢化や後継者不足が深刻化していることが見て取れます。今、農業は"やめる人が増えている"だけでなく、"始める人がいない"という現実に直面しています。
- このプロジェクトは、そうした人の流れに逆らうのではなく、 "無理なく関われる農"のカタチをつくり、無理をせずに人と地域をつなぐ試みです。
05
2025年、江田島の土から。レモン畑の未来構想
2025年6月、「え〜れもんのおうちin鹿川」はスタート。
レモン16本、ライム2本、すだち2本。計20本の木を植え、地域の「え〜れもんサポーター」とともに小さな一歩を踏み出します。翌年2026年4月には、さらに20本を追加予定。
3年ものの接ぎ木苗を採用することで、早期の収穫・収益化を狙います。

- ビジネスモデルの展望
「え〜れもんのおうちin鹿川」では、木のオーナー制度「え〜れもん応援団」を創設し、地域内外からの支援を受けながら安定した収益の仕組みをつくりあげていきます。
オンライン販売や決済システムについては、マージンデザインの自社リソースを活用してすでに実装が整っており、今後はSNSやインターネットを積極的に活用しながら、全国に向けて「江田島レモン=え〜れもん」というブランドの認知を広げていきます。
- 販路とブランディング
販路拡大においては、無料で出店できる各地のマルシェへの出展を積極的におこない、地元や広島市内を中心にえ〜れもんブランドの存在を広く発信していきます。
商品はパッケージやキャラクターと連動させることで、"可視化されたブランドレモン"として印象に残る展開を目指します。
- 地域との共創
MUSUBI プロジェクトでは、単に栽培や販売をおこなうのではなく、地元に住むサポーターを少しずつ増やしながら、管理や収穫といった作業を段階的に地域の手に移していくことも重要な柱としています。
年齢や立場を問わず誰もが関われる働き方の多様性を広げ、「関わり方の選択肢」を地域に根付かせることが、え〜れもんプロジェクトの大きな目標です。
06
MUSUBIプロジェクトの理念
誰もが輝く社会は、地域から生まれる。
医療現場で長く働いてきた中で、常に感じてきたひとつのジレンマがありました。「支援制度は整っている。でも、誰もが自分らしく輝ける"居場所"は、意外と用意されていない」本当に必要なのは、"支えられる側"と"支える側"という線引きのない、ゆるやかで自然な「関わりの場」ではないか。
MUSUBIプロジェクトの根底には、その想いがあります。
だからこそ、この取り組みではあえて公的な社会資源に依存せず、地域に眠る資源や人の力を「結び直す」方法を選びました。企業として利益を追うのではなく、「誰もが輝ける社会は、地域でつくる」という想いを実践の形にしたい。それがMUSUBIプロジェクトです。
え〜れもんは、そうした優しい循環の象徴です。今は小さな輪でも、きっと未来に残る循環のタネになると信じています。

現在、弊社は、通常の商業案件(Web制作やグラフィック制作)や企業ブランディング、医療・法律分野のライティングなどを手がけています。そのうえで「え〜れもんin鹿川」をはじめとするMUSUBIプロジェクトの取り組みは、直接的な採算を目的とした事業ではありません。むしろ会社としての社会的役割を果たし、地域に必要とされる仕組みづくりに少しでも貢献したい、という想いで立ち上げたプロジェクトです。
- この活動を通して、「地域と人を結ぶ新しい仕組み」を社会に実装することが目標。たとえ収益は小さくても、「やさしくつながる場」が残っていくことを第一に考えています。
代表講演・研修実績
医療機関勤務時代から現在に至るまで全国の学会・医療機関・企業・行政等で、障害者雇用・てんかん医療・福祉実践について招聘講演をおこなってきました。
- 日本てんかん学会(広島大学・愛知医科大学)招聘講演・シンポジウム
- 全国てんかんセンター協議会(東北大学・広島大学)講演・シンポジウム
- 日本結節性硬化症学会(聖隷浜松病院)招聘講演
- 日本財団 就労支援フォーラム講演
- 図書館流通センター(TRC)障害者雇用社内研修講師
- ヤンセンファーマ・エーザイ株式会社 社内研修講師
- 四日市商工会議所 障害者就労講演
- 名古屋市立大学 大学院看護学研究科 非常勤講師(2020年〜現在継続中)